深川から国道275号をひたすら南下する、17時前のこと。
冬。雪原にも見慣れてきたが、3時間後の飛行機で去らなければならない。
レンタカーを返すことを考えるとそんなに余裕があるわけでもない中、どうしても寄りたかった場所へ向かっていた。
最初ここに着いたときは、ここがどこだかわからなかった。
過去に2度訪れた時とは景色があまりにも変わっていて、認識することができなかった。
それは季節が冬で雪が積もって雪原になっているからとか、そういうもんじゃないほど違っていた。
更新されていないGoogleMapの衛星写真を見て、この場所で間違いないことを確認する。
今でこそネットなんかで調べれば何だったのかはすぐにわかるでしょうが、ネットもなければ『札沼線』というものがあったことすら知らない人がいきなりここへ来たら""駅のような何か""ということはわかっても""なんという駅だったのか""はわからないでしょう。
ここには駅がありました。
本当に?
歓迎をする看板がありました。
本当に?
そこにある足跡だけが、ここが「なにか」であることを示しているようで。
そこに足跡がなければ、ここは「どこか」ではないのかもしれない。
ただ広がる雪原の、公園の、その一部でしかない。
存在を示す線路が雪に埋まってしまっている今、ここはどこでもない。
近くで遊んでいる子供の声が聞こえる。彼らはここを見てどう思うのでしょう。
知ることはあるのでしょうか。ここに1日1本列車が来ていたことを。
ふとした時、記事を見返したら、引用に貼ったホームページが消えていました。
3年前は営業していた店舗が、どう見ても長くシャッターを閉ざしていました。
知られていなければ、存在していないことと何ら変わりない。
少なくとも、この足跡を残した人たちは知っているのでしょう。
来年も同じ数あるとは限りません。
きっとそうしてさびれていくのでしょう。
知らんけど。